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彗は小さく笑うと、軽く頭を小突いた。
「――っ!」
だけど、今は、それさえも無理だった。
触れられることが苦痛で仕方なかった。
「…って、おまえ、顔色悪い。大丈夫か?」
「………」
「治ったばっかりなんだし、無理すんなよ」
「………」
「…紗綾、聞いてる?」
彗がまた手を伸ばすと、ドクッと脈が大きく鳴った。
胸に走る痛みは強く、また速くなっていく。
これ以上は、狂ってしまう気がした。
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