闇の中で嘲ﾜﾗ笑う者

弟(1)

家に帰り、轢いてしまったことに気を落としながら眠りに就いた頃、意識がハッキリし、だが身体は動かない。

イワユル金縛りにあったのです。

金縛りに遭った人は分かると思いますが、あれ、目を瞑っていても見えてしまう光景があるんですよね？。

障子をゆっくり、ゆっくり開き、ビタンビタンと床に手のひらを叩き付け、這い寄ってくる女が来たそうです。

それは弟のベッドまで這うと、ベッドにすがりついて登ってきてゾッとしたと言います。

長い髪が弟の鼻先や瞼の上に垂れ下がり、目を開ける勇気はなかったが、今覗き込まれている事は理解できたと……。

今目を開けたらヤバイ、と思い、大分永い間ジッと寝たフリを続けていたそうです。

狸寝入りですね……。