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. 「え?」 「だいたい、好きでもないのに付き合うわけないだろ?」  そうか、俺のような断ることすら上手く出来ないヘタレと違って先輩なら、確かにそうかもしれない。そんなところが大好きだ。  白い首筋にキスをすると、ブルブルっと身体が震えた。肩に力が入ってる。 「好きです。先輩」 「…う、ん、先輩、もうやめろ。名前で呼べよ。それに、二人の時は敬語も、いやだ」  首筋に張り付いてた俺の顔を覗くように少し身体をのけ反らせた先輩は、眉間にシワを寄せている。  もう涙は止まってる、けれど瞳はまだ潤んだまま。そんな瞳で先輩はじっと俺を見る。  可愛い、こんな可愛い人、他に知らない。 「瑞希、抱きたい」  我慢してた正直な気持ちを吐き出すと先輩はぐっと息を飲んで、今度は首、耳まで真っ赤に染めた。  俺の視線から逃れるように下を向けた顔は、また泣きそうだった。 「……っ、も、っものには、順序ってものがあるだろ」  最後は聞き取れないくらいの小声になってしまった先輩に顔を寄せて囁いた。 「じゃあ、キスから」  先輩はすっかり忘れているけど、頭の上にはまだ黒い耳が乗っている。  思い出さないうちに、ベッドに運ぼう。  かわいいかわいい俺の黒猫。 END
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