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お昼近くになり、各自で持ってきたお弁当を食べる。
我が家の分は、旦那と息子の二人分、と多目に作ったのだが…。
私と透で食べるには、ちょっと多すぎだったな…。
いくら保冷バックに入れていたとしても、夕飯にまでは回せないな~、なんて考えていたら、上から声が降ってきた。
「おかず、旨そうですね。」
声の主は阪口さん。
「そんなことは…。適当に作っただけですよ。しかも、旦那が食べると思って作ったから、量も多いし…。」
「少しもらってもいいですか?」
「…まずいかも知れませんよ?」
おかずの入ったお弁当箱を真剣に覗き込み、迷っている姿は、まるで子供のよう。
じゃあ、と取ったのは玉子焼き。
甘いおかずはご飯のおかずとして認めない、との持論を展開する旦那好みの味付け。
私としては、甘いのもたまに食べたくなるけど…。
パクっと一口で食べ、感想もなく箸が伸びてくる。
「……あの?」
「あっ、スンマセン。旨くて、普通に違うおかずを食べたくなっちゃいました。」
はにかみながら話す言葉に、可愛らしさを感じ、ドキドキしてしまう。
「傷んで食べれなくなるのも悲しいんで、よかったらどうぞ。旨いって言ってもらえて、私も嬉しいです。」
思わず笑みもこぼれ、回りから見たら締まらない顔をしているだろう。
そんなこんなで、おかずの半分は阪口さんの胃袋に収まった。
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