3人が本棚に入れています
本棚に追加
到着時間を逆算して、甲子園は第三試合まで見て帰ることになった。
時々プレーの内容を教えたり、自分達の練習内容を考えさせたり、と指導しながら観戦しているところがさすがだな~、と改めて感心していると、余程ほけーっと阪口さんを見ていたんだろう。
耳元で
「そんなに見つめて…、惚れちゃった?」
とイタズラに囁かれてしまった。
一瞬、私の中の時が止まり、言葉の意味を理解できたとき、顔の火照りをごまかす事が出来なかった。
悟られてはいけないと、真っ赤な顔のまま切り返す。
「野球を語る阪口さんってイキイキしてていいですよね。」
…しまった。言葉のチョイスを間違えたか?
少しの間、沈黙が流れた。
「…っ、あの「ありがとう」
阪口さんの表情は柔らかい。そんな返事が返ってくるとは思っておらず、
「どういたしまして。」
と、なんとも気のきかない返事しかすることが出来なかった。
最初のコメントを投稿しよう!