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帰りの車の中。
いつもより少し早めに起きた子供達は、眠気がピークになったようで、車を走らせてから10分もしないうちにみんな寝てしまった。
私は、というと、さっきのプチ告白から気が気でない。
何だか、二人の間に流れる空気も微妙。
…あ~ぁ、言葉って難しい。
一度出てしまった言葉は戻せないんだけど、できるなら時間を巻き戻して、上手く切り返すか、否定するか、とにかくプチ告白はせずにその場を終わらせたかった。
こんなことをグルグル考えているから、空気もおかしい、ということにまだ気付いていない。
「子供達、寝ちゃいましたね。」
不意に話し掛けられ、体がビクッとなってしまった。
「本当、あんなに来るときは喋り倒しだったのに。」
半分呆れて返事をすると、
「俺も眠くなってきた。」
と、眠そうな阪口さん。
空気もおかしい、と思っていたのは私の勘違いで、ただ眠かったのか、と安堵する。
「運転、代わりますよ。到着時間は遅くなっちゃいますけど…。」
「事故起こすよりはいいですよね。お願いしていい?」
断る理由もなく、運転を代わる。
自分でハンドルを握るのは嫌いじゃないけど、阪口さんや子供達の命を預かっていると思うと、いつもより慎重にならざるを得ない。
「悪いね。」
と話すが、言葉にいつもの覇気がない。
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