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「じゃあ、今度はツカサの番だからな」
なんだかトウギが無駄に張り合おうとしてきた。
「二次元の良い所は? はいどうぞ、そのい――」
「外見の良さを限りなく追求出来る。三次元には出来ない事が出来る。外見とキャラに齟齬が生じない。個性が際立つ。不幸が回収出来る。大団円が可能。伏線がありある程度未来が解る。無駄が無い。救いがある。不可能が可能。時間軸に縛られずわざわざ順を追う必要が」
「――ごめんなさい」
負ける気がしない。
でも折れるのが早いよトウギ。100まであと結構あったのに。語りたかったのに。
「諦めるなよトウギ。お前なら出来るよ」
「いつも通りのけだるげな口調で熱血を語られても、パスワードを忘れてアニメサイトにログイン出来ない時ぐらい対応に困るんだが」
「それは多分どっか高いビルから飛び降りればいいんじゃないかな」
「お前にとっての三次元の価値の低さについて!」
「そこに痺れる憧れ」
「ねぇよ!」
いちいち煩いな。まぁその煩さも嫌いじゃないけど。
「そんな事より、早く進めてよ」
僕はパソコンを指差して言う。話を逸らしたのは実は僕だけど、そんな事は棚に上げて鍵を付けてしまえ。
「おう。そうだったな。さっさとちゃくっとこの美菜子ちゃんルートをクリアしてムフフでグフフなエンディングとCG画像を拝もうぜ」
願わくばこいつの腐った思考回路も一緒に鍵を掛けたい。
「馬鹿トウギ。僕が買ったゲームだぞ。物語を楽しむのが最優先に決まってるじゃないか。さくっと進めちゃダメだ」
二次元は洗練された物語が1番大事なんだ。CG画像(18禁)も楽しみではあるけど、一応男だから仕方ない宿命だけど、それは物語を味わったからこそ際立つものだ。というかちゃくっとってなんだ。
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