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両親を亡くした私に、残された先の選択肢は少なく、志望校を蹴って、無償の奨学金を貰えた七隈大学を四年間の生活の地に選んだ。お陰で、全入学生の前で、柄でもない入学生代表挨拶を行うはめになった。
「浜崎ちゃん、格好よかったよ。私惚れ直しちゃった」声をかけてきたのは、私と違う、長身でスラッとしたスタイルの久美子。ここに向かう途中に唐突に声をかけてきた女だ。私と同じ学科だとわかると、後ろを犬のようにしっぽを振って着いてきた。私には決してできないことだ。
「私みたいなチビな女の子に格好よかったは誉め言葉にならないわよ」
あなたみたいな人に誉められても皮肉にしか聞こえないわ。そう言ってやりたかった。どうやら私はフォーカーフェイスは苦手なようだ。
「そんな顔してー。ほんとにカッコっよかったんだから。少なくともわたしと隣にいた娘はメロメロよ」「ありがと。次はどこに行かなくてはならないのだっけ?」
「学科の入学式。今度のが本番よ」ひとつ道越しに離れた体育館からライブ会場から離れるように文系棟に
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