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「さて、貴方は……何に囚われているのですか?このままだと、この夜汽車を降りれませんよ?」
「はあ?」
「このまま、乗り続ければ、貴方は肉体に戻れずに死にます。そして、貴方の魂は黄泉へと運ばれますので、ご注意を。人は簡単には生き返らないですからね」
衝撃的な台詞を他人事の様に口にした車掌に対し、憤りを覚えた。勝手に乗らされ、こんな真似、納得出来るかと思い、席を立つと車掌の胸ぐらを掴む。
そんな状況にも関わらず、笑みを崩さずにいる車掌に尚更、おれは腹が立ち、空いたままの片手の拳を握りしめた矢先だった。
「!?」
車掌の人差し指がおれの額に触れた瞬間、身体の力が抜け、地面に力無く座り込んでしまった。
まるで腰を抜かした様に力が全く入らない。
おれは、わけが分からないまま、目の前で、乱れた制服を整えている車掌に目線を送った。
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