2.お前が嫌いだ

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「……ああ、杉本三尉」 「はい」 「今晩、ちょっと飲みに付き合ってくれないか」  予想外の言葉に紘平は一瞬戸惑ったものの――。 「何故でしょう」と、冷静に訊き返す。  一方の隼人は親しげな態度を崩すことなく、小声で答えた。 「飲みニケーションさ。君とちと腹を割って話したいだけだ」  訝る端整な顔に、固い決意が滲む。 「――折角ですが、今夜は生憎」 「場所ここ」  紘平の言葉を一方的に遮りつつ、カウンターに暗褐色のカードをすっと置くと、 「じゃ、1930でよろしくー」  異議申し立ての隙を封じるかのように、屈託のない笑顔を紘平に残して、隼人は立ち去った。 「――……」  眉根を寄せ、やや険しい眼差しで紘平は隼人の背中を見送る。  長身が廊下の角に消えた時、口の端が不快げに吊り上がった。
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