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――佐伯先輩、杉本さん呼び出して何すんだろうな。
紘平の困惑気味の表情を席から窺いつつ、平野正嗣は唇に薄い笑みを浮かべて腕を組んだ。
観たかった番組の録画予約を済ませ、紘平は宿舎を出た。
佐伯隼人の部屋は割と近いが、声をかけて一緒に行く気は全くなかった。
指定された『松代』は地図を検索すると徒歩十五分の場所にあったため、運動のつもりで歩いて行くことにする。
立番に敬礼を返してゲートから出た紘平は、すうと深く息を吸った。
基地の中とは匂いが違い、身も心も軽くなる気がする。
オンとオフ、その違いを肌身で感じることが、紘平は好きだった。
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