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『やるじゃない、一尉』
名前こそ純和風だが、『松代』の趣は現代的に洗練されていて、検索画面を見た紘平はその意外さに驚いたものだった。
デートにでも使ってるのかなと勝手に想像し、こんな近場はありえないかと苦笑する。
第一、デートなんて……。
苦笑を噛み殺し、きっと唇を引き締めて、夜に白く浮かぶ建物を見据えた紘平の眼差しが険しさを増す。
……彼は、ゲイなんだから。
となると――嫌な方向へ膨らみそうな想像力を一旦抑えて、紘平は引き戸を開いて店内へ足を踏み入れた。
「いらっしゃいませ」
はつらつとした風体の仲居に予約名を尋ねられたが、適当に佐伯と答える。
仲居はにっこりと笑って、
「ご案内いたします。どうぞ」
こんなことがあるのだろうか。
検索して見た画像より、店内を広く感じた。
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