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やや恥ずかしげに微笑む紘平の顔を見つめていた隼人が、声を一トーン落として言った。
「ここからぶっちゃけトークタイムだ、いいか」
勝手に「はい」と動いた口。
隼人は小さく頷き、
「杉本は、男を抱ける男は汚いと思うか?」
「……本当に、ぶっちゃけますね」
少し空いた間のあとで、作り笑いを浮かべて隼人の様子を窺う。
「まあな。俺は頭悪いから、巧い言葉選ぶ前に直に訊いちまう」
紘平は、苦笑混じりで髪をかき上げた隼人の栗色の髪に眼を留めていた。
「佐伯さんの髪は……生まれつき?」
「ああ」
薄紅色の唇が「へ」の字形に歪む。
「染めたとかどーとか、実にしょーもないことで学校の先生とよく揉めた」
「でしょうね」
職業軍人的な男臭さのない隼人の容姿は男女問わず引き付ける何かがあるようで――紘平は少しの間躊躇ったあと、口を開いた。
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