2.お前が嫌いだ

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 二日前、ヘリ隊の斎藤が隼人の部屋から出て来た光景を思い出し――紘平ははっとした。 「……この件を報告したのが僕だって」  ずっと穏やかだった鳶色の目が、一瞬鋭い光を放って紘平を見据える。 「知ってなきゃ言わない」  それで呼び出されたのか。  事情を察した紘平の顔は強張っていた。 「僕は――その」 「仲間を想う君の正義感は評価に値する。だがなあ」  隼人は温野菜サラダをトングで皿に盛り付けながら、 「ゲイって評判の男の部屋から泣きながら男が出てきた、イコール性的暴行を受けたって判断は軽率だ。報告前に斎藤へ確認取れよなー」  至って呑気な口調が、返って紘平を戸惑わせる。  正確には、その気が失せただけなんだけどな。  その事実はそっと胸にしまっておくことにして、 「頼むぜ、杉サマ」 「……すみません」  とりあえずの詫びを入れるが、釈然としない。  斎藤の涙の理由を尋ねようとして口を開きかけ――止めた。
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