2.お前が嫌いだ

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「杉本」 「はい」 「あんまり興味なさそうなんだけど、女性は好き?」 「女性――ですか」 「ん」  しかし予想以上の時間をかけて考え込む様子に隼人は眉を片方つり上げ、 「どうした」 「えっ……あ」  焦る必要もない、ごく一般的な質問に狼狽えるのが、傍目にも怪しい。  ブロッコリーを口に運んで、質問を変える。 「じゃ、女性と付き合ったことはある?」 「……あります、けど」 「けど?」 「僕、不器用で……長続きしないんですよね」 「ホントに?」  紘平は黙って烏龍茶を飲んだ。まだ三分の二程がグラスに残っていたが、全て飲み干してしまった。 「……本当?」  疑わしげな眼差しを浴びながら頷く紘平は、そそくさと店員を呼んで四杯目の烏龍茶を頼んだ。 「さ、佐伯さんも飲みますよね」  ぎこちない笑顔を浮かべた白い頬に、うっすら赤みが差している。
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