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ドアを閉める手が、微かに震えていた。
ずるずると床にへたり込む紘平は、か細く呟く。
「……疲れた……」
あいつのどこに、あんな元気があるんだ?
「平野に掛けてみるか」
隼人が携帯電話を耳に当てる。
個室を出、土間を歩き始めてすぐに「あ」と遠くで誰かの声が上がった。
「杉本さーん!」
別室の戸が開いていて、身を乗り出して手を振っているのは桑原真琴。
トーンの高いその声に紘平はそっとため息をつく。
「お邪魔してもいいですか?」
座敷の大部屋「枇杷」へ上がり、一同へ爽やかに挨拶をする隼人は誰の隣に座るのかしら――と、調達課の女性陣五人は密かな期待を抱いたが、当人は真琴の隣を選んだ。
「一尉、杉本さんと二人きりで何話してたんです?」
「内緒ー」
「あれ、二人とも飲んでないんですか?」
四杯目の中ジョッキを片手に、次は何にしようかと悩む平野正嗣が問いかける。
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