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「たまにはいいもんだよ。な、杉本」
「……まあ、そうですね」
頷く紘平の笑顔は固かった。新たに注文した烏龍茶を片手に、隼人が笑う。
「じゃ、改めて。お疲れ様です!」
こうして、紘平にとっては極めてテンションの高い飲み会が始まったのである。
聞き役に徹した紘平を除く八人が和気あいあいと過ごすうち、遂には宿舎の門限が近づいて、
「佐伯さん、そろそろ」
やや焦りながら声をかけても、隼人はにこやかにこう言葉を返すだけ。
「平気平気。門限なんか怖くないし」
それどころか。
「次、どこ行くー?」
駄目だ、こりゃ――。
二次会を皆と話し合う隼人に呆れ果てた。
そこで流石に気を利かせた平野が紘平に帰れと促す。
「後は俺達に任せて、杉本さんは帰ってください」
紘平と隼人以外は基地の外に住んでいるので、遠慮はしないことにした。
こうして皆に暇を告げて早々と部屋へ戻った時、紘平はどっと押し寄せた疲れに座り込んでしまっていた。
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