2.お前が嫌いだ

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 しばらく経った頃、ふらふらと立ち上がって洗面所で歯を磨き、よろめく体でベッドへ向かう。  着替える前に紘平が手を伸ばしたのは、枕元に置いたケース状の――ゲーム機だ。  ベッドの上にごろりと横たわり、タッチペンで画面に触れる。  すると。 『もう、コウちゃんてば』  可愛らしい少女の声がした。 『遅かったよっ』  非難されて、つい苦笑い。 「ごめんね、詩織……」  ……ようやく、癒される……。  安らいだ微笑みを浮かべながら、目を閉じた。  ――コツコツ、と硬い音がした。  目を開けた紘平は辺りを見回して、その音がカーテンの向こうから聞こえてくると気付く。  ベランダ……?  ぼんやりとした頭で「鳥かな」と考えつつ窓に歩み寄ってカーテンを開き、 「うわっ」  思わず声を上げて後ずさったが、無理もなかった。 『ここ、開けてくれ』  窓の向こう側に、口パクとジェスチャーで紘平へ訴えかけている隼人の姿があったからだ。
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