2.お前が嫌いだ

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「いやー、外よじ登ったの久しぶり」  相手の楽しそうな口ぶりとは逆に、紘平は眉間にしわを寄せる。 「じゃ、早く部屋に戻られてください」 「機嫌悪いな、杉サマ」 「今、何時だと思ってるんです――」  窓に鍵をかけて振り向いた紘平はどきりとした。  ベッドに腰掛けた隼人の手には画面を開いたまま置いてあったゲーム機――思わず叫ぶ。 「何してんですかっ」 「ん?」  きょとんとした隼人だったが、えらい剣幕でつかつかと歩み寄ってくる紘平の目的が手にしたゲーム機だと気付き、取り上げられる前にボタンを押してスリープ状態を解除し、中身をしっかりと見てしまった。 『どうしたの? コウちゃん』 「……」  長い黒髪の愛らしい少女が、隼人を大きな黒い瞳で見つめてはにかんでいる。 「……これ、って……仮想的恋愛ゲーム?」  手荒くそれを奪い返すと、 「ただのゲームです。気になさらないで部屋へお戻りください」  少しの間沈黙していた隼人が、口を開いた。 「……別に趣味なら構わんと思うけど」  にやと笑う整った顔を睨みつける、紘平。
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