1.偏食漢

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 硬直した体は、程よく感度が良さそうだと踏んだ。  ただ……。  首筋から唇を離してやると、斎藤は涙目で見つめ返してくる。 「隊……長」 「もういい」  脱がすまでもなく、隼人はその気を失っていた。  こんな辛そうな目で見られながら事に及ぶなんて、つまらない。 「……興ざめ」  不愉快そうに浅く眉根を寄せた隼人は斎藤に向かって手を払い、 「部屋へ戻れ、斎藤」 「……失礼します」  部下が足早に部屋から出ていく気配を背中で感じ取りながら、窓辺に佇んで眼下の夜景を眺める。  酒の勢いでものを言った後の怖さというものを、彼は身をもって知ったことだろう。  ……で、今夜も、退屈……。  隼人はふうと一つ息をついた。
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