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硬直した体は、程よく感度が良さそうだと踏んだ。
ただ……。
首筋から唇を離してやると、斎藤は涙目で見つめ返してくる。
「隊……長」
「もういい」
脱がすまでもなく、隼人はその気を失っていた。
こんな辛そうな目で見られながら事に及ぶなんて、つまらない。
「……興ざめ」
不愉快そうに浅く眉根を寄せた隼人は斎藤に向かって手を払い、
「部屋へ戻れ、斎藤」
「……失礼します」
部下が足早に部屋から出ていく気配を背中で感じ取りながら、窓辺に佇んで眼下の夜景を眺める。
酒の勢いでものを言った後の怖さというものを、彼は身をもって知ったことだろう。
……で、今夜も、退屈……。
隼人はふうと一つ息をついた。
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