3.氷の瞳のオネエサマ

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 風防ガラス越しに地上を見下ろすたびに、鳥になれた気がした。 『“ファルコーネ”より、全機へ』  戻る時間だと自分に言い聞かせ、 『定刻の1045にて訓練終了。これより帰還する』 『了解』  頭上を見上げる。  見慣れたものだが飽きはこない。  空は今日も、美しい。 「……はい、わかりました」  装備品を片付けていた時、内線に出ていた“ロック”津村が隼人に向いた。 「隊長」 「ん」 「田辺司令より、今から部屋へ来るようにとのご連絡が」 「……やだ、行きたくない」  訓練時とはまるで別人の、渋い顔をしてごねる隼人の様子に、津村、そして横にいた“シアー”遠藤はつい笑みをこぼす。
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