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「……今更どうこう言ったって、仕方ないけどな」
カウンターに頬杖をつき、
「杉サマは何故、俺に風当たり強いのかねえ」
「何かやったんですか? 先輩」
愉しそうに笑う平野の問いに隼人は唇をすぼめてみせて、
「いやー、接点そのものがあんまり……あ」
思い当たることなら、二つ。
「二年前の実地で投げ飛ばして彼の右肩外しちまったのと、去年の飲み会で『実は幼女趣味?』って冗談で訊いたくらいだ」
すると平野は神妙な顔つきで隼人を見つめた。
「どちらかといえば、後者で怒りを買ったんじゃないですかね」
「ん?」
「彼、噂では本当にそっち系なんで」
「あらまあ」
にやっとする隼人はグラスの中身を飲み干し、
「変態とロリか。お互い様じゃん――マスター、お代わり」
自分を一瞥して頷いたフリッツのグリーンの目が微笑っているのに気づく。
「でも俺、陰険なのは嫌いだなあ」
隼人は明るくそう言って、笑顔でピスタチオを噛み砕いた。
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