1.偏食漢

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「……今更どうこう言ったって、仕方ないけどな」  カウンターに頬杖をつき、 「杉サマは何故、俺に風当たり強いのかねえ」 「何かやったんですか? 先輩」  愉しそうに笑う平野の問いに隼人は唇をすぼめてみせて、 「いやー、接点そのものがあんまり……あ」  思い当たることなら、二つ。 「二年前の実地で投げ飛ばして彼の右肩外しちまったのと、去年の飲み会で『実は幼女趣味?』って冗談で訊いたくらいだ」  すると平野は神妙な顔つきで隼人を見つめた。 「どちらかといえば、後者で怒りを買ったんじゃないですかね」 「ん?」 「彼、噂では本当にそっち系なんで」 「あらまあ」  にやっとする隼人はグラスの中身を飲み干し、 「変態とロリか。お互い様じゃん――マスター、お代わり」  自分を一瞥して頷いたフリッツのグリーンの目が微笑っているのに気づく。 「でも俺、陰険なのは嫌いだなあ」  隼人は明るくそう言って、笑顔でピスタチオを噛み砕いた。
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