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夕方の調達課は静かに色めき立った。
黙々と仕事を片付けていた杉本紘平はしばしその様子に気付かないでいたが。
「……杉本さん」
部下の――それでもここでは三年先輩だ――桑原真琴の声に紘平は顔を上げた。
「はい?」
今年二十二歳になったばかりの真琴は頬を赤らめている。
「どうしました? 顔赤い」
「杉本さん、お呼びですよ」
興奮気味の真琴が小さく、だが忙しなく小刻みに指差す方向を見遣る。
カウンターに身を預け、こちらを笑顔で見つめている人間がいた。
一等空尉・佐伯隼人だ。
「少しいいかな、杉サマ」
柔らかい、深みのある声。
基地きっての有名人の来訪に、紘平は微かに眉をひそめていた。
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