過去

26/35
前へ
/213ページ
次へ
真柴は言った。選択された者は本来、館に残された者の助けを求めている夢は見ても、逃がそうとする夢は見ないと。 それは、友人を残して来てしまったと言う罪悪感を誘う悪夢である。 その話を踏まえて考えれば、記憶の断片だと言う可能性は否定出来ない。 そしてデキモノの変色については、おそらく呪いが発動するまでの間だけ、肌色であったのではないかと憶測した。 つまり、美香の話をきっかけに発動してしまったのではないかと言う事だ。 美香は、零の隣で泣きそうな顔をしている……。 「美香、そんな顔をしなくてもいい……。自分でも調べていたんだ。いずれ廃村の噂話に辿り着いていた筈だ」 「でも……」 零は優しく美香の頭に手を乗せた。 「大丈夫だ……」 零の優しい声と仕草に、美香は頷きながら、ポロポロと涙を膝へ落とし始めた。
/213ページ

最初のコメントを投稿しよう!

214人が本棚に入れています
本棚に追加