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「四ノ宮さん……」
真奈に呼び掛けられた零は、美香の頭に手を乗せたまま顔を向ける。
すると、零は困ったと言うようにため息をついた。
「ふぅ……。二人まで」
どうやら美香だけではなく、真奈と翔まで罪悪感を感じてしまったようである。
二人は暗い顔をして零を見ている。
「聞いてくれ、二人共……。俺は何も後悔をしていない。むしろ、話を聞けて感謝をしているぐらいなんだ」
零の言葉に、美香も涙を手で拭き取り視線を向ける。
それに気付いた零は、美香の頭に乗せていた手を自分の膝に戻し、言葉を続けた。
「何も知らないまま今まで通りの生活を送っていたとしても、俺が死んだら……もっとも大切だと思う人に、過酷な運命を背負わせることになる。そうですよね……? 真柴先生」
何かを決意したような眼差しと、力強い口調を受けた真柴は、静かに頷いた。
「なら、俺がこのふざけた呪いを……終わらせてみせる」
零は膝の上で、拳を強く握り絞めていた。
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