214人が本棚に入れています
本棚に追加
真柴は重々しく頷いた。
「そのまさかじゃ……」
青ざめた表情で美香と翔が、零の左腕に視線を向ける。
「そして、麻美君のデキモノがあった場所……それは――左胸じゃ」
思わず美香は両胸を押さえた。
女性のシンボルと言える場所である。麻美が拒否したのも頷ける話であった。
「この方法はデキモノのある部分を切り取り、七日以内に燃やさなければならない。そうしなければ、また新たなデキモノが出来上がってしまうのじゃ。これをわしは――『増殖』と名付けておる」
想像するだけで悪寒が走る。
だが零達は話を聞いて、千堂の傷痕を思い出していた。
真柴の話し通りなら、千堂の傷痕は、不完全な処置を行った結果『増殖』をした事になる。
確かに千堂の腕には七ツの傷痕はあったが、新たなデキモノは見当たらなかった。
それを不思議に思った美香は、何気なく口にする。
「でも、大浴場で見た千堂さんの身体には、新しいデキモノなんて、なかったよね……? それに、あの軍人にも遭えなくなったって言ったし」
最初のコメントを投稿しよう!