怨念

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「この呪いは、一人の男に起こった悲劇とも言うべき、ある事件が事の始まりであった……。その男の名前は――」 その男の名前は――真田正臣<サナダ・マサオミ>。 当時、山上村に存在した洋館の主であると共に、30代半ばにして軍の中枢で活躍していた軍人でもあった。 家系からしても古くから軍に関わる家柄であり、エリートと言っても過言ではない。 そして正臣には、愛し合う許婚の女性がいた。 女性の名前は、白川咲枝<シラカワ・サキ>。 この咲枝が、丁度18を迎えた誕生日の夜、悲劇は起こったのである。 ……悲劇の日、正臣は村のほとんどの人間を洋館へ呼び寄せ、咲枝の誕生日を祝うパーティーを開いていた。 村人達は、村長と並ぶ村の実力者である正臣の招待と言うこともあったが、純粋に咲枝を祝福するために集まっていのだ。 彼女は、若く美しいだけではなく、人柄も良い娘であったため、皆に好かれていたのである。 また、正臣も軍人とは言え、村人達には優しい人物であった。 そのため、この二人が結び付く事を妬む者は、村の中にはいないと思われていた。 しかし……。
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