目眩

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「ねぇ、こんな話、聞いた事……ある?」 おもむろにペンを止め、女子高生は話し出した。 ……今ネットで噂になっている廃村があるんだけどね、そこにおっきな造りの洋館があるんだって。 その館では昔、廃村に人が住んでいた頃、館の主が村人を大勢呼んではパーティーを開いていたらしいの。 でもね、パーティーが開かれる度に村人が、一人また一人と行方不明になるんだって……。 突然、閉め切られた彼女の部屋のカーテンが揺れた――視界の端でそれを捉え、驚いて彼女はそちらへ振り向く。 どうやら、自動運転をしている冷房の風がカーテンに当たっていただけのようである。 椅子に腰掛けている彼女は安堵の表情を浮かべ、勉強机の傍らに立つ青年に向けて話を続けた。 それでね、館の主を不審に思った村人達が警察に通報して調べてもらったんだけど、館からは証拠も何も出てこなかったの。 もちろん、それからはパーティーが開かれることは無くなったんだよ。 でも、パーティーが無くなっても……人が度々いなくなったんだって――。
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