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賑やかだった洋館から段々と村人達が減る中で、最後に残った咲枝も、帰宅をしたいと正臣に告げた。
本来ならば、咲枝は正臣の家に泊まる事が出来た。
しかし、病気で家にいる母親に、正臣に貰った――純白のドレス姿を見せたいのだと、笑顔で告げたのだ。
正臣は、0時を回っている事もあり、暗くなった夜道は危険だと一度引き留める。だが、どうしてもと言う紗枝に困り果ててしまった。
それならば、家まで送ると正臣が言う。
すると今度は、自宅まではすぐだから大丈夫だと、また笑顔で応えたのである。
引き留めるも虚しく、また明日にと言って、正臣に手を振り、洋館を後にしたのだった。
これが……正臣の見る、咲枝の――最後の姿となる。
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