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正臣にしてみれば、有り得ない話だ。
最愛の女性を自分の手で殺すなどとは……。
だが、小さな村で広まった噂は根拠などなくとも、人を疑い惑わすに充分過ぎた。
正臣のいない所で噂は一人歩きし、なかった筈の根拠さえ付け加えられてしまったのだ。
それは、咲枝が他の男の子を宿していたのだとか、または、正臣に新しい女が出来たから殺されたのだとか……。
根も葉も無い話が村に充満する。
直接言われないにしても、正臣の苦しみは日に日に増していく。
そして、咲枝が見つからぬまま数ヶ月が経った頃――。
ある男が自分の父親に……重大な告白をする。
これにより事態は急変し、さらなる悪夢を呼び寄せてしまうのである。
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