怨念

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「そんな……。ひど過ぎる」 美香が、哀れみの声を発する。 「よいかな、同情する気持ちは分かるが、その必要はない。あの男は関係のない人間をも巻き込んでいるのじゃからな……」 いたたまれない重い空気の中、躊躇なく、零が質問を投げかける。 「真柴先生、黒いワンピースの女とは、ドレスを着た白川咲枝の事なのでしょうか……? それと、どこでこの話を……」 「うむ、古い時代だからの。今の者がワンピースと思う物もドレスとしたのじゃろう。わしは同一人物で間違いないとしておる。それと、実はの……。三年前、君がここに訪れた時に――ある頼み事をしておった」 「……頼み事ですか?」 「そう、君達が持ち帰った写真のあった場所から、この箱を持って来てもらうように頼んだのじゃよ」 そう言って真柴は立ち上がり、骨董品の並ぶガラスケースから――黒く古めかしい箱を取り出した。
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