目眩

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暗い顔で零は、美香の部屋から出ようと扉のドアノブに手を掛けた。 「ちょっ!? ごめんなさいっ!! 今のは言い過ぎたから待ってっ!? 零兄ちゃんのデキモノと似てるのっ!!!」 必死に零の腕を掴みながら美香は謝っていると。 「……!? 今、なんて??」 「だから~。零兄ちゃんのデキモノと似てるのっ! 話に出て来る『印』がっ!」 そこまで言うと一階から声が聞こえて来た。 「美香ちゃん!! 勉強ちゃんとやってるの!!?」 美香の母が怒っていた。 「うーん!! やってるやってるー!!!」 シマッタと返事を急いで返すが『焼け石に水』である。しかもいい加減な返事で母は更に激怒した。 「もうっ!! そんなんじゃ、あさっての勉強合宿なんて零ちゃんに連れてってもらえないわよー!!」 「……」 「…………」 「美香……何の話だ?」
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