騎士と魔物

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騎士と魔物

 国を救った騎士は、英雄として国民に崇められました。  そして、救国の英雄となった騎士には、多くの貴族の女性が求婚しました。  しかし、騎士は王女からの思いから全ての求婚を断っていました。  ある日、騎士が最後の盗賊の頭目を倒し、城に戻ってくると、パーティーが行われていました。  騎士が街の人間に「このパーティーは自分を歓迎するものか?」と聞くと、  街の人間は「いいえ、王女様の婚約パーティーです」と答えました。  騎士は、やっと王女が自分の気持ちにこたえてくれたと喜びました。  しかし、城に戻ると、騎士は愕然としました。  王女は騎士が戦っている間に、領土を維持するために、隣国の王と婚約していたのです。  その話を聞いた騎士は心が砕け散ったような感覚に教われました。 「この数年間はなんだったのだろう」と。  騎士は、放心状態で家に帰りました。  そして、数年前の憎しみを思い出し、一気にあふれ出したのです。     騎士は、その憎しみを止めようと必死に抑えましたが、抑え切れませんでした。  騎士は真夜中に王女の部屋に忍び込み、気持ちを伝えようとしました。  しかし、眠っている王女の横には、新たな王が眠っていたのです。  騎士は眠っている王女と新たな王の胸に剣を突き刺し、殺してしまいました。    その瞬間、騎士の身体は熱を発したように熱くなり、大きくなっていきました。騎士の着ていた鎧は壊れ、壊れた鎧の間からは獣のような毛が覗いていました。  騎士は、王女の部屋にある鏡で自分自身を見ると、そこには、大きな獣の姿をした魔物がいたのです。  その時、騎士は気づきました。  王女に対する憎しみや恨みのあまり、自分が魔物になっていることに。  魔物となってしまった騎士は、王女の部屋からは出ることはできません。  大きな身体では、部屋に隠れることもできません。  朝になれば、王女を迎えに来る侍女に気づかれ、衛兵に囲まれてしまいます。  騎士は悩みました。  そして、騎士は答えを出しました。 「自分は魔物として王女を襲った。だから、魔物としてこの国を滅ぼしてしまえばいい」と考えたのです。  怒りの衝動に身を任せた騎士は、城にいる人々すべてを襲い始めました。  出会う人すべてを傷つけ、殺したのです。
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