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あるのは不自由と不平等だけ。バカみたいに掲げられた自由も平等も、張りぼてみたいな理想にしかすぎないんだよ。
上辺だけを見た現実の本質は、あまりにもリアルで残酷なのだから。
――所詮、世の中なんて虚像(うそ)と虚構(まやかし)。
なんて、
そう嘯いてしまえば、大言壮語も甚だしいと嘲笑われるに違いないし、悟ったフリをした達観論なんて振りかざしたところで現実の前じゃなんの意味もなさない。
つまるところ、オレという存在は、檻(世界)の中では限りなく無力だった。
その檻から出ようなんて、足かせをつけられ手錠をかけられたに等しい状態ではとうてい叶うはずもない。
現実という鉄格子が際限なく行く手を阻む。
青空のもと、徐々に腐っていくような、そんな鈍い痛みがするオレの心は曇天模様だ。
「オレに似てんな」
ふと、神居山に語りかける。返事をするかのように、雑木林がざわめいた。
好き放題に伸びた草木、さびれたこの山を手入れする者などいない。――すくなくとも、この町には。
この山は、不運なオレとよく似た境遇にあるらしい。
類は友を呼ぶとでもいうのか、この場所に惹かれるのは、そんなシニカルな因果のせいかもしれない。
――神居山もまた、忌み嫌われていたのだ。
神居山は廻魔市の中心に位置しており、別名龍脈とも呼ばれる歴史のある山だ。
しかも、あるのは歴史だけじゃない。コレはどこの地域にもありそうな言い伝えなのだが、昔々、廻魔市には龍が住んでいたらしい。
そして、その龍が封印されたのがこの神居山。だから龍脈と呼ばれているのだ。
もちろん本当に存在していたかどうかは定かではないし、証拠なんてものもない。まぁ、ここまでは普通のお伽噺として聞かされるくらいのものだ。
じゃあ、なんで神居山が忌み嫌われているのか――?
それは、一つの都市伝説じみた伝承に起因する。
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