第一章 魔女と龍脈と邂逅と。

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 そんな山に、落ちこぼれた少年が独り。  お誂えむきと言うには、皮肉(スパイス)が効きすぎだろう。  これじゃあまるで、傷の舐めあい。忌み嫌われた山にまですがるオレは、情けないを通り越して何かが終わっている。  自傷的な独白に、自嘲的な笑みさえこぼれてしまう。  こうなると、もう止まらない。  負の感情が心を苛み、それはまるで黒い重油のよう。  マイナスベクトルの思考は狂ったように螺旋を描きながら暴走し、いつも答えのない疑問にぶちあたって、無責任に感情を散らかしてゆく。  世界で一番不幸なつもりか?  そうやって逃げ場を作って、自分の意のままにならない世界から逃げるのか?  自らに問うても、答えはない。  ――否、見つからない。  わからない。  つまらない。  くだらない。  救いのない。  不条理は不条理のままに。    そんな、歪んだ。          こんな、腐った。          世 セ            カ          界 イ          な          ら          ――いっそのこと、崩壊してしまえばいいのに。  ――最初から、なかったことになればいいのに。  そんなことまで考えてしまうオレは、いつの間に歪んでしまったのだろうか。  いや、もとからこんな性格だったのかもしれない。  それさえも、わからない。  世界に見放されたオレに、果たして生きる価値があるのか。  ついこのまえまで綺麗に見えていた世界は、ふとした拍子にがらりと表情を変えていまではすべてが灰色に。  なにかにすがってまで、自分の心を保とうとすることが日常に。  このままで、いいはずなんてないのはわかっていたのに。  ただそれを変えるだけの勇気が、不条理と戦う覚悟が、オレにはなかったのだ。  臆病者に手をさしのべる神なんて、どこにも居やしない。  くる、くる、と。今日も世界は、廻る。  一人の人間なんか、眼中にない。と、いわんばかりに――
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