2人が本棚に入れています
本棚に追加
~その人が仰るには~
………それは、その総(すべ)てが、混沌として在る時。
何時かは判らない。どれくらい前かは、最早誰も知らないという。
人も霊魂も死者も、悪魔も神も……
何もかもが一つの場所に在り、秩序もルールも総て混沌とする時代がありました。
そしてそこは神々が総てを従え、統治していたのです。強大な力を振るう神々は、その力で他の存在を抗えなくしていたのです。
特に醜い姿で産まれてしまった悪魔は、周りから疎まれ、神々にとっては虐げるには絶好の対象でした。
そして神々に対する不信感は次第に、憎しみに変わりつつありました。
―――そんな時です。
どこから現れた、9人が人や動物、あらゆるモノ達……そして悪魔にも高らかに声を上げて問いました。
「―――自由が欲しくないかしら!?」
そしてその9人に賛同したモノ達と、当然この動きを許す訳がない神々が反発し、次第に完全な対立となり、一触即発の状態に。
そんな中、神々は……
「我々は最強の力を持つ!故に我々が統治するが自然の摂理なり!」
すると9人は……
「―――潰しまょう、あいつ等。」
『賛成~。』
翌日、神々は自身とその従者、総計四億以上の軍勢を用意。
対して9人は、自身等と9人の従者のみを従えたのみで、大海原を舞台とした極端な戦力差での戦争を始めました。
「―――開始30分で神軍勢、全滅ですぅ~。」
「……手応え、無し。」
そして神に勝利した9人とその従者は、神とそして人や悪魔達に一つの提案をしました。
「この世界は狭すぎるわ。私達が広くするから、そこで暮らしなさい。ただし、それぞれの種族は別々の次元に、分ける事にするから。」
「…ちなみに、異論は認めないわよ。それがこの混沌を招いたんだから。」
そして今の世界があるという……
(――マスターより聞いた、遥か昔の物語、前半より抜粋。)
最初のコメントを投稿しよう!