マッチ売りの少女

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青年は愛しそうにマッチを見つめ、そっと呟きました。 「僕には愛する人がいる。その人と家族になりたい。その人と子供と温かいクリスマスを過ごすのが僕の夢だ。どうか僕にその夢を見せてくれ。」 そして、祈るようにマッチを擦りました。 炎のなかには、青年と青年が愛しているであろう女性と、小さな可愛らしい子供がクリスマスツリーを眺めている姿が映っていました。 それを見て、観客の中から青年の名を呼ぶ声が聞こえてきました。 「あなた・・・私と私の子供と温かいクリスマスを過ごすのが夢だったの!?それが・・・あなたの・・・」 女性は青年に駆け寄ってきて、そう尋ねました。 女性の目には涙がたまっていて、今にもこぼれ落ちそうでした。 「そ、そうだよ。でも、僕は平凡すぎて・・・君に言う勇気がなかった・・・。でも、ずっと、心から愛していたんだ!!僕と結婚して欲しい!!」 女性は青年の言葉に小さく頷き、涙を流しました。 それを見て、観客はワッとマッチ売りの少女に詰め寄りました。 「俺にも売ってくれ!!」 「私にも!!」 「ちょっ!!横入りしないでよ!!」 こうして、夢見るマッチはすぐに完売しました。 その後、マッチ売りの少女は、会社を建て、夢見るマッチを世間に広めました。 現在は夢見るライターの販売を考えており、さらなる業績アップを図る予定だそうです。 めでたし、めでたし
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