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耳障りな音と、生臭い爬虫類独特の異臭がする。気持ちが悪い。だが、どうにもできなかった。 体中を這う、音や臭いの原因であるその蜥蜴は、いくら手を延ばしても、皮膚を掻きむしってみても、壁で擦ってみても、触れる気配がない。 気持ち悪い。どこに、どこにいるんだ。確かにいるのに、分からないなんて。 ぬるり。ずっ、ずっ……ずる。 あ。なんだ、いた、こんなところに。手を突っ込む。 ぐちゃ。 ほら、尻尾。掴んだ。 ぐちゃぐちゃ、ぐち。 真っ赤な蜥蜴。こんなところに。 腹から取り出した蜥蜴は、内臓(なかみ)を総て食べ尽くしていて、私は空っぽ。 そして私は蜥蜴になった。私だったモノに捕まれた尻尾を切り離し、小さな躯で世界へと旅立った。
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