1匹目『それは、ヒトのように……』

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「よく一人で寝てるテーブルの下も、一緒に寝た縁側にもいないんです……。 近くの公園を探しても見当たらなくて……」 「それはいつのお話ですか?」 うつむいた俺の頭の上から降るその柔和な声は俺の気持ちを落ち着かせ、一つ大きく深呼吸をして、涙を拭ってから答えた。 「先週の事です」 「一週間前ですか……」 「もう見つかりませんよね……。 分かってはいるんです!母親にも猫は弱ると静かな場所で安静にするから、もう帰ってはこないだろうって……。」 「そうかい、竜がねぇ……」 そう呟いたのは奥のテーブル席に座っていた初老の男性だ。
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