1匹目『それは、ヒトのように……』

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「マスター良かったんですか?」 私は再びカウンターで洗い物を始めるマスターに声をかけます。 「なにがですか?」 「人間にあまり姿を見られないほうが良いのでは?」 「そういう貴女だって思い切り彼の名前呼んでいましたよ?」 「え!? そ、そうでした!?」 私はあの時何かを言って励まさなくてはと必死でした。 「まぁ、姿見せた方が説得力はあるだろうよ。まさか、目の前にいる優男が猫の王様、ケット・シーだとは思わねぇだろからな」 そう言いながら寅之助さんは出入り口へと向かいます。
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