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「いい?行くよ…しっかり見ててね…」
「は…はい!」
僕は晴真さんに釘付けになっていた
「………」
晴真さんは集中しているようだ
先ほどの優しい眼差しはなく
あるのは鋭くて剣道チャンピオンを思わせる雰囲気だった
「……煉瓦斬!」
ッドサ
気付くと丸太は粉々に粉砕されていた
「………すごい…」
「そうかな? でも剣道をやっているとこんな風に強くなれる
心も体もね」
「剣道…すごい…」
「あ!いけねっ!もうすぐ練習試合の時間じゃねえか!」
晴真さんは慌てふためいて荷物を整理する
「またな少年! これからはいじめられるなよ!」
「あ…待って!…」
声を掛けたときにはすでにその姿はなかった
「剣道…僕は強くなりたい…」
僕はそう決意した
いつかあの人のように
なれると信じて
いつかあの人と同じ
場所に立てると信じて
僕は駆け出した
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