60人が本棚に入れています
本棚に追加
/32ページ
姫宮咲妃
ひめみや さき
彼女を一言で言えば、八方美人で周りは納得するだろう。
腰までの艶やかな髪
少し下がって目尻は顔立ちを優しく写す。
右の泣きホクロはチャーミングポイントとしていいだろう。
女性の象徴は少し乏しいが、それを補って余りある容姿に加え、成績は上から数えた方が早いほどの秀才。
ただ一点。
全てを台無しにしてしまう欠点がある。
「うん?どうしたの?」
可愛いとしか言いようのない笑みだったのだが、いきなり覗き込まれた俺はビクッと肩を跳ねさせて「何でもないよ」と口にするが、咲妃は「ふ~ん」と口にしながら、俺がぼーっとしていたときに向いていた方に目を細めた。
その先に入るのは、二人の女性が露出の多めな服を纏って楽しそうに歩いている姿
「・・・ちょっと、ここで待っててくれない?」
「お前が、ちょっと待て!?その右手の獲物は何だ!?」
「え?刺身包丁だけど?」
「何でそんなの持ってんだよ!」
「え?何でって・・・貴方の視界に入った害虫を処理する為じゃない。分かってるクセに」
こ、コイツは・・・
淀んで光沢の無い瞳で満面の笑顔を向けんでくれ
「じゃ、ちょっと行ってくるから、先に行っちゃったりしちゃヤダからね」
可愛い仕草と裏腹にギラリと冷たい光を放つ右手の獲物に、俺は慌てて手を掴んだ。
最初のコメントを投稿しよう!