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そんな高校生活を経て、これまた平和な大学生活を送ったのちに入社したのは、大手の出版社。
わたしは多忙な毎日を送るであろうと覚悟していたのだが、この会社は大手であるにも関わらず、社員全員がのほほんとしていた。
たまには刺激があってもいいのだが、何をやるにも器用にこなしてしまうわたしは、仕事も人間関係も上手くやってしまうのだ。
刺激的な毎日とは、程遠い。
わたしは、自ら平和を求めているわけではない。でもなぜか、平和がわたしについてまわるのだ。
高校時代の友人とはよく飲みに行くのだが、彼らの話を聞いていると、やれ上司がムカつくだの、それ彼女が最近ウザいだの、ほれ人間やめたいだのと、それぞれ悩みや愚痴を溢すのだが、何だかんだで充実しているように思える。
周りに比べ、わたしは高校時代から今に至っても、なぜか平和に過ごせているわけで、やれ昔から変わらないだの、どれお前だけは憎めない奴だの、これ素敵なオーラが出ているだのと、わたしに向けて羨望の眼差しを浴びせるのだが、それでも彼らはわたしより、充実しているように思えるのだ。
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