ワンピースの男

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 会社の上司は出来るわたしに頼り、嫌みを言う者はいない。それに同期が妬む様子もまるでない。  わたしと平和は、揺るぎない絆のようなもので繋がっている。  しかし、わたしは最近、平和尽くしの生活に飽きがきていた。  そんなことを思ったのは初めてのことで、途端に恋にも似たようなドキドキ感が溢れ出てくる。  わたしは今、刺激を求めている! たくさんの、物凄い刺激を、わたしは求めているのだっ!!  そうしてわたしは、溢れんばかりの欲望を満たすべく行動する。  平和なお勤め生活から脱するべく、また、平和な大学・高校生活をやり直すべく、思えば中学時代も、幼少時代も平和であったわたしは、生まれた頃からの平和な人生を卒業するべく、行動に出た。      * * *  それから一ヶ月後、高校時代の友人と飲みに行くことになった。 「……お前、変わったな」  よし! 脱・平和、成功だ。 「いつから、女装趣味に……?」  脱・ワンピース(一つの平和)  着・ワンピース(女物の洋服)    ―+―+―+―+―    『ワンピースの男』        完    ―+―+―+―+―
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