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俺の趣味は、人間観察。
仕事を終え、会社を出る。電車に乗り込む場所は、いつも同じ。
吊り革に掴まると、目の前には毎回同じ席に座る女性がいた。
彼女は誰が見ても美しく、毎日見ていても飽きることはない。
周りの男達は皆、釘付けだ。
俺もまた、その一人。
彼女は他の乗客のように、携帯電話をいじったりはせず、本を読むでもなく、眠りもしない。
良い家のお嬢様のように、両手を重ね、姿勢良く座っている。
俯き加減に視線を下げ、彼女の目の前に立っている俺はいつも、上から長い睫毛を眺めていた。
帰りの車内は常に満員で、座っているということは、始発に近い駅から乗っているのだろう。
両足を少し斜めに傾けて座る、女性らしい仕草がたまらない。
そんな彼女の右隣には、ふくよかなおばちゃんが眠っている。
ピチピチではち切れそうだが、書類を片手にスーツを着ていることから、仕事帰りに違いない。
疲れているだろうから仕方のないことだと分かってはいるが、足を広げ、頭を窓につけ、大口を開けて眠りこける姿を見ると、隣の彼女と同じ女性だとは思えない。
……いや、思いたくない。
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