努力家の女

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 そこで、気付いたことがある。  この彼女、地味ではない、と。  頬の肉がなくなると、意外にもハッキリとした顔立ちだった。  そしてこの頃から、クラスの男子はチラチラと、彼女の顔を覗き見るようになっていった。  うん、分かる。  分かるよ、その気持ち。  可愛くなったもんね、彼女。  男子の気持ちに心で相槌を打つが、それは私だけだったみたい。  他の二人は、そんな彼女の変化を良く思っていないようだ。  二人が彼女に嫉妬していることに私が気付いたのは、あの彼女が仲間外れにされてからだった。  女子って……怖い。  彼女みたいに痩せたら、私も仲間外れにされるかもしれない。  私は二人の怖さを知ってから、二人には逆らえなくなっている。  痩せる気など更々なかったが、二人が仲良くしてくれている間は絶対に痩せないと、心に決めた。
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