努力家の女

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 それから、三ヶ月が過ぎた。  努力を続けた彼女はますます輝きを増し、男子の間で、クラスの可愛い女子のトップに踊り出た。  男子からはチヤホヤされ、嫉妬に狂う女子からは罵声を浴びる。  しかし、罵声には耳を傾けず、いつも俯きがちだったあの頃が嘘のように、自信を持って顔を上げる彼女は誰よりも素敵だった。  彼女は好きな男の子の為に、可愛くなろうと精一杯努力をした。  そんな彼女を女子達は馬鹿にするが、私は素直に尊敬する。  私はもう一度、尊敬する彼女と仲良くなりたいと思い、あの二人やクラスの他の女子全員を敵に回す覚悟で、彼女に話しかけた。      * * * 「ねぇねぇ──」  彼女の肩を叩く。  すると振り向き、満面の笑みをこちらに向けた彼女は、言った。 「……触るな。デブが移る」  彼女は女磨きと同時進行で、きつい言葉にも磨きをかけていた。    ―+―+―+―+―     『努力する女』        完    ―+―+―+―+―
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