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小学生の頃、父は休日の度に、公園でサッカーを教えてくれた。
中学生の頃、父は仕事から帰ると、毎日勉強を教えてくれた。
高校生の頃、父と買い物に出かけると、洋服を選んでくれた。
大学生の頃、父はよく、釣りやキャンプに連れていってくれた。
俺の頭の中には、父と過ごした日々の記憶で溢れ返っている。
中学でサッカー部に入部したのは、父がサッカーを教えてくれたから。高校で勉強をがんばったのもそう。大学で流行に目覚めたのだって、全てが父の影響だった。
「お前が二十歳になったら、二人で酒を飲みに行くのが夢なんだ」
父はベタな夢を持っていた。
そして俺が二十歳を迎えると、父は誰よりも嬉しそうだった。
その日は平日で、父は仕事に行くはずなのだが、わざわざ仕事を休み、朝から二人で出かけた。
近所の公園で軽くサッカーをしたあと、バッティングセンターに行き、たくさん買い物もした。
そしていよいよ、夢が叶う。
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