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初めて飲むビールは決して美味いとは言えないが、次々と飲むうちに、その味にも慣れてくる。
父譲りなのか、浴びるように飲んでもちっとも酔わなかった。
思い出話で、盛り上がる。
適度に酔いが回り、いい気分で家に帰ると、母が御馳走と誕生日ケーキを用意してくれていた。
二十歳の誕生日は、本当に記憶に残る、良い思い出となった。
それから二年後、たくさんの思い出を遺して、父はいなくなる。
たくさん遊んでくれた父。たくさんのことを教えてくれた父。
これからも、教わることはまたまだたくさんあったはずなのに。
父の葬儀には、親族だけでなく、仕事関係の人もたくさん来てくれた。俺の友達も、たくさん。
誰からも好かれていた父。
誰もが父の死を嘆いた。
皆が皆、泣いていた。
哀しくて、仕方がない。
毎日仕事を頑張る父を尊敬していた。休日でも仕事の疲れを表に出さず、いろんな場所に連れていってくれる父が大好きだった。
何でもできて、強く、優しく、明るい父が、大好きだったんだ。
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