観察する男

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 俺は、いつも決まった時間の電車に乗っているわけではない。  仕事が定時に終われば夕方の電車に乗ることができるが、残業で終電間際になることだってある。  それなのに、彼女とはほぼ毎日同じ電車に乗り合わせていた。  彼女と同じ電車に乗り合わせることのメリットは、その美貌を拝んで癒しをもらうだけではない。  なぜか、彼女の両隣に座る人は毎回、濃いキャラが多いのだ。  仕事に明け暮れ、立ったまま眠っては乗り過ごすような毎日であったが、彼女と同じ電車に乗るようになってからは観察に忙しく、一切として退屈しなくなった。  今や、一日の中でこの時間が、最も楽しみな一時となっている。 「○○駅~、○○駅~」  斜めに傾けていた足をまっすぐに立て直し、彼女は立ち上がる。  ドアが開くと、大きな駅のホームへ乗客がドッと流れていく。  彼女と共に、電車を降りた。
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